1.全盛期の始まり ――アメカジ熱狂と古着バブル
2000年代初頭。
街では リーバイス501のヴィンテージジーンズ、レッドウィングのブーツ、シルバーアクセサリーがアメカジの象徴として爆流行。
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木村拓哉のドラマファッションも火付け役となり、古着屋のショーウィンドウにはヴィンテージデニムが並び、週末の原宿は買い物客でごった返していた。
その波にうまく乗ったのが、僕の古着屋だった。
- ロスに住む友人ベンからのコンテナ第1便は“大当たり”
→ リーバイス501XX、ビンテージTシャツ、状態のいいレザーがぎっしり - 開店初月から黒字続き
- 店は従業員に任せ、僕はスロットに朝から晩まで張り付き
- レジの売上は毎日「ちょっと借りる」の感覚で抜き取り
「俺、商才あるかもしれない!」
スロットで万枚を流したときのような高揚感に包まれ、経営者気取りで笑っていた。
2.計画性ゼロの経営 ――仕入れ資金までスロット行き
しかし、人間そう簡単には変われない。
スロットの“期待値”と同じ感覚で、古着屋の仕入れ資金にも手を出し始めた。
- コンテナ2台目 → 開けてみれば“ハズレ”古着の山
→ ノーブランドのスウェット、色落ちがひどいデニム、シミだらけのシャツ - 在庫が回らないまま、借金をして3台目を仕入れ
- 「次は当たりが来るはずだ」と、まるで天井狙いのスロット打法
売上も仕入れも、そして生活費すら“ノリ”だけで回す経営。
「古着屋オーナー」という肩書きに酔っていただけで、実態はスロ打ちの延長戦にすぎなかった。
3.転落の足音と読者への問いかけ
経営は好調に見えても、その裏では資金繰りは綱渡り。
1台目の大当たりが幻影となり、僕は「次もある」と信じ続けた。
けれど、仕入れはギャンブル。
当たりが続けば一気に上昇、外れれば在庫と借金の山。
当時の僕に残された選択肢はひとつ――消費者金融。
まだ「総量規制」もなく、年収の3分の1以上でも借りられる時代。
借りるのは簡単だが、金利は20%超。
返済のためにまた借りる、典型的なデッドスパイラルへと足を踏み入れていった。
もし当時――
「ファクタリング」という仕組みを知っていたら?
- レジ売上をすぐに現金化
- コンテナ仕入れ資金を確保しながら、借金に頼らない運転資金管理
- 消費者金融の高金利に手を出さずに済んだかもしれない
「2000年代にファクタリングがあったら、俺の古着屋はどうなっていただろう?」
そんな“もしも”を考えずにはいられない。
次回予告|Ep.18
借金と古着屋経営を行き来する日々。
「資金が足りないなら借りればいい」──そう信じていた時代、まだ“総量規制”という縛りは存在しなかった。
銀行カードローンや消費者金融からの借り入れが容易だった2000年代初頭。
しかし、その裏では“返せなくなる人”が急増し、やがて導入されたのが「年収の3分の1ルール」。
さらに、今では知名度が上がった ファクタリング や、独自審査で貸付を行う 中小金融 の存在も。
当時それを知っていれば──翔太の古着屋は違う未来を歩めたのか?
次回 Ep.18では「借入規制と資金調達のリアル」を深掘り!
法律、仕組み、そして“裏”の選択肢を明らかにしていきます。


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