朝いち、返済のためにATMへ。クレジットカードを差し込んだ瞬間、機械が「ウィーン…」と唸り、画面には――
「取引を中止しました。カードを回収しました」。
……はい、物語はここから始まります。(笑えない)
「カードが沈黙したら、現金封筒が相棒になる」
──これが、僕の“金融リハビリ”初日の合言葉。
0.開幕イベント:ATMでカードが“帰ってこない”
- 場所:駅前の共同ATM(2000年頃)
- 状況:キャッシングを選択 → 画面が一瞬フリーズ → ブザー → カード取り込み
- やったこと:備え付け電話でオペレーターに連絡。機械の前から動かない(超重要)。
- オペ:「磁気エラーの可能性です。営業時間中に身分証を持って支店へ」
- 僕の心境:「返済D-Dayにジョーカー切ってくるなよATM……」
※補足:当時も正規のカード回収(磁気不良/暗証ミス/有効期限など)は普通に起こる。
もう一つの可能性として**“レバノンループ”系トラップ**(返却口に細工→カードだけ戻らない)も現実にあった。
画面に回収メッセージが出ていれば正規回収の線が濃い。どちらにせよ、その場で銀行・警備へ連絡が鉄則。
1.何が起きた?「ブラック通知」を3行で
- カード:利用停止(ショッピング・キャッシングともストップ)
- 請求:分割/リボが打ち切られ、一括請求や強制解約の提案が飛ぶことも
- 信用情報:延滞・代位弁済などの事故情報が登録(機関により5年程度の保有)
2000年前後の現実解は特定調停か任意整理。ここから路線変更です。
2.ATM事件の“現実的な切り分け”
正規のカード回収(あり得る)
- 磁気不良/暗証番号連続ミス/有効期限切れ/端末故障/盗難登録カード 等
- 画面に**「回収しました」や「中止しました」**の表示。営業時間に支店で返却/再発行へ。
トラップ系(当時から存在)
- 返却口の細工でカードだけ戻らない。近くに“親切な人”が湧く。
- 対処:その場から離れず、備え付け電話で銀行・警備へ。第三者に任せない。
どちらの線でも、**「今日のキャッシングは終わり」は確定。
なので作戦を“現金主義モード”**に切り替えるしかない。
3.72時間生存戦略:生活を止めない“緊急動線”
3-1. 収入の避難
- 給与受取口座を別銀行へ移動(同一銀行で延滞中だと、相殺の可能性)
- 口座振替は一時払込票や窓口払いへ切替
3-2. 優先順位(止まると人生が詰む順)
- 住(家賃・寮費)
- 光熱(電気ガス水道)
- 通信(携帯/PHS)
- 食(現金封筒管理)
→ カードは“止まっている前提”で運用を現金に一本化。
3-3. 連絡テンプレ(電話の言い方)
「○○カードご担当者さま。滞納分は分割の支払計画をご相談したく、
本日○万円、来月○日○万円、その翌月○万円……でお願いします。」
4.借金の“整理”オプション(2000年代版)
A. 特定調停(簡易裁判所)
- 調停委員が仲介し、将来利息カット+分割を目指す
- 自分で申立OK/費用は印紙・切手程度
- デメリット:事故情報は残る
B. 任意整理
- 司法書士・弁護士が債権者と交渉。将来利息ストップ+3~5年分割
- 督促ストップが早い/費用は発生
C. 個人再生/自己破産
- 再生:元本圧縮+分割返済/破産:免責で再スタート
- 資産・職業制限など要確認
僕はAの特定調停に向かうことを決めた。理由は「費用が安く、手続が早い」から。
5.“金融リハビリ”初日ログ(実録)
- AM 9:10 カード停止を確認→給与口座を別銀行へ変更申請
- AM 11:00 大家さんに電話、「今月15日までに現金で」合意
- PM 14:30 カード会社へ支払計画を提案(初回入金額を約束)
- PM 17:00 簡裁の特定調停窓口へ相談。必要書類をメモ
- PM 23:30 机に現金封筒4つ(家賃/光熱/通信/食)。 カードの代わりに封筒が相棒――急場しのぎでも、意外と効く。
6.“封筒家計術”の超ミニマム版
- 家賃封筒:触らない(緊急でも死守)
- 光熱封筒:現金化→払込票で支払い
- 通信封筒:基本料金+最低チャージ(通話は短く)
- 食費封筒:1日あたり上限をペン書き(使ったら斜線)
細かい家計簿より、「現金が減る痛み」を手で感じるのが先。
7.よくある誤算Q&A
Q. 信用修復を“早くやる”業者から電話が来た
→ NG。信用情報は時間と事実でしか回復しない。
Q. デビットカードは作れる?
→ 銀行審査次第だが、口座直結のVisa/Masterデビットは可のことあり。
Q. 携帯の分割は?
→ 割賦審査で落ちやすい。中古一括やプリペイドで回避。
8.ATM事件の後始末と“自分ルール”
- カード回収:支店で身分証提示→再発行へ(または解約)
- トラップ疑い:その場で通報。カード会社へ利用停止を即連絡
- 自分ルール:
- ATMの返却口から目を離さない
- 残高が薄い日は行かない(焦りは事故の燃料)
- 封筒家計を途切れさせない
まとめ
- ATMがカードを飲み込んだ瞬間に、“借金で時間を買う”時代は終わった。
- ブラック通知は終点ではない。現金主義→整理手続→信用の再構築へ。
- 今日の相棒はプラスチックじゃない。茶封筒だ。
次回予告|Ep.16
調停申立て当日。 廊下のベンチで番号札を握る僕のポケベルが鳴る。
「おい、シノギ……じゃなくて“まともな仕事”、一つある」
──人生のリール、揃うのか、滑るのか。 お楽しみに。


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